明治17年(1884年)創業。奈良市福智院町に位置し、日本酒発祥の地・奈良の伝統を継承する酒蔵。春日大社の神鹿にちなんだ「春鹿」ブランドで知られ、世界10数カ国に輸出。「米を磨き、水を磨き、技を磨き、心を磨く」を信条に、伝統的な奈良酒の製法を守りつつ革新的な酒造りも行う。
今西清兵衛商店は明治17年(1884年)に創業した奈良の老舗酒蔵である。今西家は元々春日大社の神官として神々に供える酒を醸していた家系で、明治維新後に商業酒造を開始。明治27年(1894年)には早くも宮内庁御用達の指定を受けるなど、その品質は高く評価された。銘柄「春鹿」は、春日大社の神鹿に由来し、当初は「春日神鹿」と名付けられたが後に「春鹿」となった。これは春日の神々が鹿に乗って奈良の地にやってきたという伝説に基づいている。蔵は日本酒発祥の地とされる奈良において、室町時代に興福寺の僧坊で確立された革命的な醸造技術「南都諸白」の伝統を継承。諸白造り(精米した米を使用)、段仕込み、火入れなどの技術は全て奈良で生まれた。現在も木桶仕込みなど伝統的な製法を守りながら、発泡清酒「ときめき」のような革新的な商品も開発。世界10数カ国への輸出を通じて、奈良の酒文化を世界に発信し続けている。
春鹿の醸造元である今西清兵衛商店では、年間を通じて日本酒の試飲を楽しむことができる。試飲料金は700円(税込)で、倍長点の春鹿シリーズを幅広く味わうことができる。また2・3月の特定の土曜日の午後には限定の蔵見学を実施して1日限定20人までの特別な体験を提供している。奈良の武家屋敷エリアに位置するため、奈良観光と組み合わせて訪問する観光客も多い。
春鹿は、国際的な日本酒コンテストで数々の受賞歴を誇る。特にインターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)において、春鹿純米大吐醸原酒が純米大吐醸部門で金賞を受賞した。またスローフードジャパン燗酒コンテストでは、春鹿旨口四段仕込純米酒が最高金賞を受賞するなど、その品質の高さは幅広く認められている。明治27年には宮内庁御用達の指定を受けた歴史を持ち、伝統と品質を兼ね備えた酒造りが今日でも高く評価され続けている。
〒630-8381 奈良市福智院町24-1