大正11年(1922年)、江戸時代から続く瀬頭酒造から分家独立した瀬頭平次氏が五町田酒造を創業。当初は「日本一」という銘柄で酒造りを始めましたが、より大きな志を込めて「東洋一」の意味を持つ「東一」へと改名しました。佐賀県嬉野市塩田町の地で、温暖な気候と塩田川水系の良質な伏流水を活かした酒造りを続けてきました。転機となったのは1988年。当時、佐賀県では入手困難だった酒米の最高峰・山田錦の自家栽培を開始。佐賀の気候や土壌は山田錦栽培に不向きとされていましたが、苗作りの方法、水管理、肥料管理など試行錯誤を重ね、栽培を成功させました。この挑戦は見事に実を結び、1990年には自家栽培山田錦で醸した大吟醸が全国新酒鑑評会で金賞を受賞。以来、「米から育てる酒造り」を蔵の信念とし、地元農家と協力して五町田地区酒米生産組合を結成。蔵人自らが田植えに参加し、毎日田んぼを見回り、特に水位の管理に細心の注意を払いながら、理想の酒米を育てています。「人・米・造りが一体となって良酒を醸す」という理念のもと、低温でじっくりと醸す吟造りにこだわり、繊細で上品な味わいの日本酒を生み出し続けています。2022年には創業100周年を迎え、九州を代表する銘酒蔵として、挑戦と革新の精神を次世代へと受け継いでいます。
五町田酒造では酒蔵見学を実施しており、事前にお問い合わせいただくことで酵母菌から米造りまで、『米から育てる酒造り』の全工程をご紹介します。特に自家栽培の山田錦の田んぼを実際にご覧いただき、稲作りから酒造りまでの一連の流れを体感できるのが五町田酒造の見学の大きな魅力です。季節によって田植えや稲刊りの様子を見学できることもあり、日本酒造りの根本である米作りへのこだわりを実感できる貴重な機会です。
五町田酒造の代表銘柄『東一』は、全国新酒鑑評会で継続して高い評価を得ています。1990年には自家栽培山田錦で醸した大吟醸が全国新酒鑑評会で初の金賞を受賞し、その後も数多くの金賞を受賞。佐賀県清酒品評会でも優等賞を連続受賞し、『米から育てる酒造り』という独自のアプローチが高く評価されています。特に自家栽培の山田錦を使用した純米大吟醸や大吟醸は、その繊細で上品な味わいで業界内外から絶賛され、九州を代表する銘酒としての地位を確立しています。
〒849-1425 佐賀県嬉野市五町田甲2081