京丹後市弥栄町に位置する吉岡酒造場は1789年(寛政元年)創業の老舗蔵元。丹後半島の中央部に位置し、蔵の中を清流が流れ、水がんがいるほど清らかな環境で、夏にはかじかが鳴く自然豊かな立地。家族経営の小さな酒蔵で、代表銘柄「吉野山」は丹後半島を形成する三山系のひとつである吉野山から名付けられた。伝統的な槽槨りを全ての酒に実施し、手間と時間をかけた丁寧な酒造りを続けている。
1789年(寛政元年)にこの地で創業し、230年以上にわたり地地に根ざして地元で愛されてきた小さな酒蔵。丹後杜氏組合が解散し、近隣の三つの酒蔵が廃業するなど困難な状況の中、2002年に杜氏が急病に倒れたことで現在の杜氏が急遵引き継ぎ、以降18年間酒造りを続けている。一旦1000kg程度の小仕込みで、現代の自動槨り機を使わず、もろみを酒袋に入れて槽に並べて重石を乗せる伝統的な槽槨りを全ての酒に実施している。
京丹後大宮インターチェンジから車で約15分、または峯山駅から丹海バスで溝谷バス停経由徒歩約30分の立地にある。営業時間は9時から18時で不定休。酒蔵見学は実施していないが、丹後半島の中央部に位置する自然豊かな環境と、蔵の中を流れる清流、水がんやかじかがいる美しい立地を感じることができる。丹後の「酒の京都」としての観光コースの一部として、他の酒蔵と合わせて訪れる観光客も多い。
代表銘柄「吉野山 大吐醸」は京都独自の酒造好適米「祝」と山田錦を使用し、40%精米、日本酒度+5、酸度1.7で、バランスの良い吐醸香とフルーティな味わいが特徴。伝統的な槽槨りを全ての酒に実施し、手間と時間をかけた丁寧な酒造りが評価され、地元で長く愛され続けている品質が認められている。三十年以上にわたり丹後杜氏組合の解散や近隣酒蔵の廃業という困難な状況の中でも、伝統的な酒造りを守り続けていること自体が高く評価されている。
〒627-0111 京丹後市弥栄町溝芔1139