1830年創業、佐賀県多久市の山々に囲まれた自然豊かな地で酒造りを行う蔵元。1989年に一度休業したが、2009年に6代目蔵元杜氏・野中保斉氏により20年ぶりに復活。『伝統と革新』をモットーに、昔ながらの良い部分を継承しながら新しい挑戦を続ける。家族ぐるみで経営・酒造りを行い、作り手の顔が見える酒造りを実践。多久の山々の伏流水と厳選した酒米を使用し、米の旨味を活かしたフレッシュで芳醇な旨口スタイルの日本酒を醸す。
文政13年(1830年)、江戸時代末期に佐賀県多久市で創業した東鶴酒造。地元の清涼な山水と良質な米に恵まれ、順調に酒造りを続けていましたが、日本酒需要の低迷により平成元年(1989年)に酒造りを休止。蔵は20年間の眠りにつきました。転機は2009年、6代目となる野中保斉氏が訪れます。当初は日本酒に興味がなかった野中氏でしたが、唐津の小松酒造の酒に感銘を受け、『自分も旨い日本酒を造りたい』と一念発起。困難を極めた復活への道のりでしたが、伝統的な技術を学び直し、現代的な感性を加えて見事に蔵を再興させました。2019年8月の豪雨災害では大きな被害を受けましたが、全国からの支援により復活。『つるのおんがえし』という感謝の酒を醸造し、逆境を乗り越える強さを示しました。現在は野中氏自らが杜氏として、日本酒初心者でも感動できる味わいを目指し、山田錦や愛山などの高級酒米と白麹・黒麹を使った革新的な酒造りにも挑戦。一度は途絶えかけた東鶴の銘は、新たな命を吹き込まれ、佐賀の地酒として再び輝きを放っています。