寛政7年(1795年)、江戸時代中期に旧能古見村で創業した馬場酒造場は、230年以上の歴史を持つ老舗蔵です。馬場家が8代にわたって守り続けてきた小さな蔵は、年間生産量わずか370石という少量生産を貫いています。転機となったのは8代目馬場第一郎氏の代。大学卒業後、父親の早逝により若くして蔵を継承した第一郎氏は、7年の歳月をかけて地元農家との山田錦栽培を実現。1954年に鹿島市に編入された旧能古見村の名を「能古見(のごみ)」ブランドとして復活させました。「地元の米と水で醸す本物の地酒」を信念に、9軒の契約農家と協力して佐賀県産山田錦の栽培に取り組み、多良岳山系の清冽な伏流水を使用した酒造りを実践。地域の食材や料理との相性を追求し、濃醇な味わいながら甘くても重くない絶妙なバランスの酒を醸しています。全国きき酒選手権大会で2年連続グランプリを獲得するなど、その品質は全国的にも高く評価されています。「酒造りは微生物との共同作業、子育てのようなもの」という第一郎氏の言葉通り、地域と共に歩み、食と酒と人を繋ぐ酒蔵として、佐賀の地酒文化を守り続けています。